Amazon広告レポートの見方|セール期間の数字の読み方
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「セール初日のレポートを見たらACOSが悪化していた」「順位が落ちたように見えるが、何が原因か分からない」——セール期間のレポートを見て、判断に迷った経験はないでしょうか。
セール期間は、数字の読み方が変わります。理由は2つあります。1つは時間軸です。セール当日のACOSが示すのは短期の採算だけで、新規に買った人がその後どれだけ買うかは含みません。Amazonは、今後12か月の予測価値まで含む「長期的な売上」という指標を別に用意しています。
もう1つは競合の動きです。自社の設定を変えていなくても、競合が入札を上げれば露出は落ちます。これを自社の問題と誤認すると、直す必要のない箇所をいじることになります。
この記事ではAmazon Ads公式の記述をもとに、レポートで見る指標の分類、セールを当日の数字だけで評価しない理由、競合要因と自社要因を切り分ける方法を整理します。レポートの取得手順は扱いません。
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目次
1. レポートに載っている指標は8つのカテゴリーに分かれている
まず全体像です。キャンペーンレポート:広告パフォーマンスの分析によると、インプレッション・クリック数・売上といった業界標準の指標に加えて、長期的な売上、ブランド新規顧客、ブランドハロー効果、定期おトク便というAmazon独自の指標も確認できます。
カテゴリーは8つあります。
| カテゴリー | 中身 |
|---|---|
| 成功指標 | 業界標準(CTR・ROAS・商品詳細ページ閲覧率など)とAmazon独自(ACOS・定期おトク便など) |
| ブランド新規顧客指標 | ブランドを初めて利用したお客様からの購入 |
| 総トラフィックと無効なトラフィック | サードパーティー指標との照合、IVT |
| リーチとフリークエンシー | 広告を見たオーディエンスの数と露出量 |
| ビューアビリティ | 配信インプレッションに占めるビューアブルな割合 |
| Amazon外のコンバージョン | 自社サイトなどでの効果 |
| コンバージョンパスレポート | 30日間のコンバージョンパス |
| 長期的な売上 | 今後12か月間の予測価値を含む |
太字の4つが、セール期間の判断に関わります。残りは主に、ディスプレイ広告や動画広告、Amazon外での効果測定で使う指標です。
1-1. 成功指標は2つの出自が混ざっている
公式は成功指標を2つに分けています。業界標準(クリックスルー率・広告費用対効果・商品詳細ページの閲覧率など)と、Amazon独自のeコマース目標(広告費売上高比率・定期おトク便など)です。
他媒体と比較できるのは、業界標準のほうだけです。定期おトク便のようなAmazon独自の指標は、他媒体のレポートに並べても意味を持ちません。媒体横断のレポートを作るときは、どこまでが比較可能なのかを先に決めてください。
2. セールの評価を当日のACOSだけで決めない
セールの成果を当日の数字だけで判断すると、取りこぼすものがあります。Amazon自身が、短期の売上とは別の時間軸の指標を用意しているからです。コンバージョンパスレポートは30日間のコンバージョンパスにおける広告のタッチポイントを示し、長期的な売上は即時売上に加えて、今後12か月間の予測価値まで含みます。
長期的な売上は、広告によってもたらされるあらゆる価値(即時売上や、今後12か月間のカスタマーエンゲージメントによる予測価値など)を把握するための広告経由の指標です。
セール中に初めて買った人がその後も買い続けるかどうかは、当日のACOSには表れません。
| 見るもの | 分かること |
|---|---|
| インプレッション・クリック | 当日の露出と反応。入札や予算をその場で動かす判断に使う |
| 売上・ACOS | 広告経由の売上と費用の比率。セールの短期の採算 |
| コンバージョンパス | 30日間で、どの広告に触れて購入に至ったか |
| 長期的な売上 | 即時売上と、今後12か月の予測価値 |
セール期間中に設定を変える判断は、その場で動くインプレッションとクリックで行います。 セールの成否は、売上・ブランド新規顧客・長期的な売上まで並べて評価する、と分けておくと判断がぶれません。
3. 競合の動きと自社の問題を切り分ける
「露出が落ちた」とき、原因は自社の設定とは限りません。セール期間は同じ枠を狙う広告主が増えます。
これを測れるのが検索用語インプレッションシェアレポートです。スポンサープロダクト広告の検索用語インプレッションシェアレポート(2021年3月22日の告知)によると、検索用語ごとに自社のインプレッションシェアと、他の広告主と比べたインプレッションランクが出ます。
読み方は、公式が例を挙げて説明しています。
たとえば、特定の日付の検索用語についてスポンサープロダクト広告に由来するインプレッションシェアが20%の場合、その日に該当用語が獲得したすべてのスポンサープロダクト広告インプレッションの20%を獲得したことを意味します。
ランクも同じ考え方で、3位ならその日その検索用語で3番目に多くインプレッションを取ったという意味です。
3-1. インプレッション数とシェアを並べて見る
切り分けの方法はこうなります。
| インプレッション数 | インプレッションシェア | 読み方 |
|---|---|---|
| 減った | 変わらない | 市場全体の検索が減った。自社の問題ではない |
| 減った | 下がった | 競合に取られている。 入札か掲載枠の調整を見る |
| 増えた | 下がった | 市場が伸びたが、伸び方で負けている |
| 増えた | 変わらない | 市場の伸びに乗れている |
インプレッション数だけを見ていると、この4つを区別できません。セール期間は市場全体が動くので、絶対数の増減だけでは判断がつきません。
レポートは広告コンソールのレポートセンターからダウンロードでき、対象地域には日本が含まれています。
3-2. 無効なトラフィックの数字は単独で使わない
公式はIVT(無効なトラフィック)指標について、慎重な扱いが必要で解釈が難しい場合があるとし、使う前に総指標を調整して測定上の不一致を除くよう書いています。
「IVTが増えたから不正だ」と、この指標だけで結論を出すのは避けてください。公式自身が解釈の難しさを明記しています。
4. ブランド新規顧客指標はセールでこそ見る
セール期間は新規の購入者が増えます。これを見るのがブランド新規顧客指標で、ブランドを初めて利用した人からの広告経由の購入を把握できます。
同じ売上でも、既存客のまとめ買いと新規の初回購入では意味が違います。 値引きで既存客が前倒しで買っただけなら、セール後の売上は落ちます。新規が取れているなら、12か月の長期的な売上に乗ってきます。
セールの成否をACOSだけで判定すると、この差が消えます。ブランド新規顧客の比率を一緒に出してください。
ACOSだけで振り返ると、たとえば次のようなことが起きます。
- 症状:セール終了の翌日に全期間のレポートを締めてACOSを見たところ、平常月より悪化していました。「セールは費用対効果が悪い」と結論づけて次回の予算を削りましたが、実際にはセール中に新規の購入者が多く取れていて、その人たちのその後の購入は評価に入っていませんでした。次のセールでは新規獲得が減り、平常月の売上も伸びなくなります。
- 原因:セールの成否をACOSだけで判定したためです。値引きで単価が下がるセール期間は、ACOSが平常月より悪く出やすくなります。一方で、ブランドを初めて利用したお客様からの購入はブランド新規顧客指標に、今後12か月の予測価値は長期的な売上に表れますが、どちらも見ていませんでした。
- 対策:セールの評価には、ACOSと並べてブランド新規顧客の比率と長期的な売上を出してください。 短期の採算が悪くても、新規が取れていれば評価は変わります。逆に、既存客の前倒し購入が中心で新規が少なければ、ACOSが良くてもセール後の売上は落ちます。
- 回避策:社内報告の様式に、最初から「ACOS」「ブランド新規顧客の比率」「長期的な売上」の3つを並べる欄を作っておきます。報告の期日と様式が先に決まっていると、ACOSだけで結論を出す流れを防げます。
5. レポートの所在
キャンペーンレポートの指標はAmazon Adsエージェントのレポートから、検索用語インプレッションシェアレポートは広告コンソールのレポートセンターからダウンロードします。
媒体をまたいでレポートをまとめたい場合の考え方は広告レポート自動化ツールおすすめ9選|選び方と導入時の注意点を解説に、Looker Studioでの可視化はLooker Studio広告レポートの作り方|媒体別の連携にまとめています。
6. Squad beyondで、セールの訴求を数字と結びつける
Amazon広告のレポートで分かるのは、Amazon内で何が起きたかです。どの訴求が効いたのかまでは分かりません。商品詳細ページもストアも、セール期間中に何パターンも出し分けられないからです。
自社サイト側はその制約の外にあります。セール期間に複数の訴求を並行で出しておけば、どの言い方が反応を取れたのかをページ単位で比較できます。
Squad beyondは同じ商材の訴求を複製してパターンを並行で配信し、ページ単位でコンバージョンを出し分けられます。セールは数日しかないので、1本のページで様子を見てから直す進め方だと間に合いません。先に複数パターンを立てて、初日のデータで残すものを決める形にできます。
目標の立て方はROASの計算式と目安|損益分岐点から目標を決める方法にまとめています。
クリック単価が設定どおりにならない理由はスポンサープロダクト広告の費用|セール期間はいくらに、検索語句を止める判断はAmazon広告の除外キーワード|設定と削除の手順にまとめています。
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7. Amazon広告レポートの見方についてよくある質問(FAQ)
Q. セール初日のレポートで判断してよいですか?
何を判断するかによります。入札や予算をその場で動かすかどうかは、当日の動きが出るインプレッションとクリックで判断できます。一方、セールの成否は初日の数字だけでは決められません。当日のACOSは短期の採算だけを示していて、新規に買った人がその後どれだけ買うかは含まないからです。成否は、売上・ブランド新規顧客の比率・長期的な売上を並べて評価してください。
Q. コンバージョンパスレポートと長期的な売上は何が違いますか?
見ている時間軸と中身が違います。公式によると、コンバージョンパスレポートは「30日間のコンバージョンパスにおける一連の広告タッチポイント」を示すもので、購入までにどの広告に触れたかを見るためのものです。長期的な売上は、即時売上に加えて今後12か月間のカスタマーエンゲージメントによる予測価値まで含む指標です。セールの評価では、前者で接点の順番を、後者で新規顧客がもたらす先の価値を確認します。
Q. 露出が落ちたのが競合のせいか自社のせいかを判断できますか?
検索用語インプレッションシェアレポートで切り分けられます。公式は「特定の日付の検索用語についてスポンサープロダクト広告に由来するインプレッションシェアが20%の場合、その日に該当用語が獲得したすべてのスポンサープロダクト広告インプレッションの20%を獲得したことを意味します」と説明しています。インプレッション数が減ってもシェアが変わっていなければ市場全体の縮小で、シェアが下がっていれば競合に取られています。
Q. セールの成否はACOSで判定してよいですか?
ACOSだけだと、既存客の前倒し購入と新規獲得の違いが消えます。公式には「ブランドを初めて利用したお客様から生成され、広告経由の購入を把握するうえで役立ちます」とされるブランド新規顧客指標があります。値引きで既存客が前倒しで買っただけならセール後の売上は落ちますが、新規が取れていれば12か月の長期的な売上に乗ってきます。ブランド新規顧客の比率を一緒に出してください。
Q. どの訴求が効いたのかはレポートで分かりますか?
Amazon広告のレポートで分かるのは、Amazon内で何が起きたかまでです。商品詳細ページもストアもセール期間中に何パターンも出し分けられないため、訴求単位の比較はできません。言い回しの検証は自社サイト側で行うことになります。 Squad beyondなら同じ商材の訴求を複製して並行配信し、ページ単位でコンバージョンを出し分けられるので、数日のセール期間でも初日のデータで残すものを決められます。
8. まとめ
セール期間のレポートは、時間軸を分けて読みます。入札や予算をその場で動かす判断には、当日の動きが出るインプレッションとクリックを使います。セールの成否は、ACOSだけでなく、ブランド新規顧客の比率と長期的な売上(今後12か月の予測価値を含む)を並べて評価します。値引きで単価が下がるセール期間は、ACOSが悪く出やすいからです。
露出が落ちたときは、インプレッション数と検索用語インプレッションシェアを並べて見ます。数だけでは、市場全体が縮んだのか、競合に取られたのかを区別できません。
無効なトラフィック(IVT)の指標は、公式自身が「慎重な扱いが必要で、解釈が難しい場合があります」としているので、それだけで結論を出さないようにしてください。
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