ACPとUCPの違い|ECはどちらに対応するか
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AIエージェントが人の代わりに商品を探し、購入まで進める。この流れを支える規格が、OpenAIとStripeのACP(Agentic Commerce Protocol)と、Googleが中心のUCP(Universal Commerce Protocol)です。
どちらも「AIと事業者のシステムが商品や購入のやり取りをするための共通ルール」ですが、2026年10月時点の使われ方は違います。いちばん大きな違いは、購入がどこで完了するかです。ACPを使うChatGPTでは購入は事業者のサイトで行われ、UCPを使うGoogleのAIモードやGeminiでは、Googleの画面の中で購入手続きまで進みます。
ACPについては、ChatGPTの中で購入まで済む「Instant Checkout」とセットで紹介されることが多いものの、OpenAIはこの体験をすでに終えています。また、どちらも米国中心で、日本の事業者がすぐ参加できる状態ではありません。 この記事では、2つの違いを公式の記載で整理し、いまの時点で準備できることをまとめます。
エージェンティックコマースそのものの考え方は、エージェンティックコマースとは?仕組みと従来ECとの違い・備え方で解説しています。
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目次
1. ACPとUCPの違いを一覧で
| ACP(Agentic Commerce Protocol) | UCP(Universal Commerce Protocol) | |
|---|---|---|
| 開発 | OpenAIとStripe | Googleと、Shopify・Etsy・Wayfair・Target・Walmartなど |
| 公開 | 2025年9月29日 | 2026年1月11日 |
| 使われている場所 | ChatGPTのショッピング | Google検索のAIモード、Geminiアプリ |
| いまの役割 | 商品フィードをもとにした商品発見・おすすめ | 商品検索から購入手続きまで |
| 購入が完了する場所 | 事業者のサイト・アプリ | Googleの画面の中(購入ボタン) |
| 決済 | 事業者のサイトの決済 | Google Pay(Googleウォレットの支払い情報) |
| 販売責任を負う人 | 事業者 | 事業者 |
| 参加方法 | ChatGPTの事業者向けページから申請 | Merchant Centerの早期アクセスに問い合わせ |
| 提供地域 | ChatGPTのショッピングは米国のみ | 購入手続きの利用規約は米国のみ |
どちらもオープンな規格で、どちらも販売の責任は事業者側に残ります。違いは、AIの画面がどこまでを担うかです。
2. ACP:ChatGPTの「商品発見」を支える規格
2-1. 始まりはChatGPT内での購入だった
Stripeの発表Stripe、OpenAI と共同開発の Agentic Commerce Protocol (ACP) を公開(2025年9月29日)によると、ACPはもともと、ChatGPTの中で購入まで済む「Instant Checkout」を支える規格として公開されました。最初は米国のChatGPTユーザーがEtsyの加盟店から購入でき、Shopifyの加盟店も順次対応するとされていました。
当時の決済は、Stripeが発行する決済トークンを事業者に渡す仕組みでした。Stripeは「このトークンは特定の加盟店とカートの合計金額に紐づけられています。」と説明しています。
2-2. Instant Checkoutは終了し、購入は事業者のサイトへ
その後、OpenAIは方針を変えています。ChatGPTの事業者向けページChatGPT での商品発見を強化のよくある質問で、公式は「ChatGPT における単独の Instant Checkout 体験は終了し、今後は、より良い商品発見と事業者主導のチェックアウト体験を優先していきます。」としています。
いまのChatGPTのショッピングでは、ユーザーはChatGPTで商品を見つけて比較し、購入は事業者が運営するサイトやアプリで行います。 同じページによると、自社のサイトやアプリでの購入に手数料はかかりません。
ACPの役割も変わりました。同じページは、ACPが現在、事業者から共有された商品データをもとに、商品発見やパーソナライズされたおすすめを支えていると説明しています。より深い連携やAPIを通じて、ショッピング全体を支えるよう広げていく予定とも書かれています。
2-3. 参加は申請制。Shopify・Etsyは連携済み
ChatGPTのショッピングに商品を載せるには、事業者向けページから商品フィードの共有を申し込みます。OpenAIの開発者向けドキュメントGet Started(英語)も、商品フィードの登録は現在、承認されたパートナーだけが使えるとしています。
例外として、事業者向けページには、ShopifyまたはEtsyで販売している場合はカタログがすでに連携されていて、追加の設定や申請は要らないと書かれています。また、年内に事業者が自分でデータを連携できる仕組みを用意し、対象の事業者と地域を順次広げる予定としています。
3. UCP:GoogleのAIモードとGeminiで購入まで進む規格
Googleの開発者ブログ(英語、2026年1月11日)によると、UCPはGoogleがShopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartと共同で開発した規格で、20社を超える企業が支持しています。
Merchant CenterのヘルプGoogle のユニバーサル コマース プロトコル(UCP)と UCP を活用した購入手続き機能については、何ができるかを説明しています。
公式は「UCP と統合 することにより、Google 検索の AI モードと Gemini で、対象となる商品リスティングに購入手続きボタンを実装できます。」としています。購入者はGoogleウォレットに保存した支払い方法と配送情報を使い、Google Payで決済します。購入はGoogleの画面の中で進みますが、販売の責任を負うのは事業者のままです。
3-1. Merchant Centerの商品データが土台になる
UCPの購入ボタンは、Merchant Centerで特定の商品属性(native_commerce)を設定した商品にだけ表示されます。参加するには、早期アクセスの問い合わせフォームを送り、技術的な実装を済ませる必要があります。
同じヘルプは、Merchant Centerが広告やリスティングの商品データを準備する中心であることは変わらないとしています。ショッピング広告のために整えている商品フィードが、そのままUCPの土台になるということです。
3-2. 参加企業は広がっている
UCPの公式サイトでは、ショッピングの共同開発企業として、発表時の6社に加えてAmazon、Microsoft、Meta、Salesforce、Stripeが並んでいます。宿泊(Lodging)のドラフト仕様も公開され、飲食(Food)も近日公開とされています。
ACPを共同開発したStripeが、UCPの側にも名前を連ねています。2つの規格は、決済事業者の側から見ると対立するものではありません。
4. 日本の事業者は、いま参加できるのか
結論として、2026年10月9日時点では、どちらも日本の事業者がすぐ使える状態ではありません。
| 日本の事業者がすぐ参加できない理由(公式の記載) | |
|---|---|
| ACP(ChatGPT) | ChatGPTのショッピングは米国でのみ提供。商品フィードの登録は承認されたパートナーだけ |
| UCP(Google) | 購入手続きの利用規約が「米国のみ」。購入ボタンは早期アクセスの段階 |
ChatGPTの事業者向けページは、ショッピングは現在米国で利用でき、今後対象地域を順次広げる予定としています。Googleのヘルプも、関連ページとしてUCPの購入手続きに関する利用規約(米国のみ)を挙げています。
- 症状:「AIが代わりに買う時代に備える」という社内の号令で、ChatGPTの中で購入まで完結させる前提の決済連携を、開発会社に見積もってもらいました。予算の確保まで進めたところで、ChatGPTの中で購入する体験そのものがすでに終わっていて、日本の事業者向けの受付もないことが分かります。
- 原因:ACPが公開された2025年9月の情報のまま計画を立てていたためです。公開時はChatGPT内での購入(Instant Checkout)が売りでしたが、その後終了し、いまのACPは商品発見を支える役割に変わっています。解説記事の中には、公開当時の内容のまま更新されていないものもあります。
- 対策:計画を立てる前に、OpenAIとGoogleの事業者向けページで現状を確認してください。 その上で、規格への対応開発より先に商品データの整備から始めます。どちらの規格も、商品名・説明・画像・価格・在庫といった構造化された商品データを土台にしていて、その整備はショッピング広告の成果にもそのまま効きます。
- 回避策:開発の判断は、日本向けの受付が始まった時点で行います。それまでは、ChatGPTの事業者向けページとMerchant Centerのヘルプの提供地域の記載を、月に一度確認する程度で足ります。
5. 広告側から見ると、同じ商品データにつながっている
2つの規格は、広告とも無関係ではありません。
OpenAIの開発者向けドキュメントProducts(英語)では、ChatGPTに渡す商品フィードの中に、ChatGPT広告用の項目と購入手続き用の項目が別々に用意されています。ChatGPTで商品を見つけてもらうためのデータと、広告に使うデータが、1つのフィードにまとまっている設計です。
Google側も同じで、Merchant Centerの商品データが、ショッピング広告とUCPの購入ボタンの両方の土台になります。AIの画面で商品を見つけてもらう準備と、広告の準備は、同じ商品データの整備から始まると考えると分かりやすくなります。
整えたフィードは、ほかの広告媒体でも使い回せる場合があります。たとえばメルカリAdsのProduct Adsは、Google Shopping用のフィードをそのまま使えます。詳しくはメルカリAds|個人事業主でも出せるかにまとめています。
ChatGPT広告の出稿条件と手順はChatGPT広告とは?日本で配信開始|料金と出稿手順を解説にまとめています。
6. ACPとUCPについてよくある質問(FAQ)
Q. ACPとUCPは、どちらか一方を選ぶものですか?
選ぶ必要はありません。ACPはChatGPTのショッピングで商品を見つけてもらうための規格、UCPはGoogle検索のAIモードやGeminiで購入まで進めるための規格で、使われる場所が違います。どちらも販売の責任は事業者側に残る設計です。UCPの公式サイトでは、ACPを共同開発したStripeもUCPの共同開発企業として名前を連ねています。
Q. ChatGPTの中で商品を購入できますか?
ChatGPTが単独で購入まで受け持つ形は終わりました。ChatGPTの事業者向けページは、単独のInstant Checkout体験は終了したとしていて、いまはChatGPTで商品を見つけて比較し、購入は事業者のサイトやアプリで行います。同じページは、購入体験を細かく管理したい大規模な販売者向けに、ChatGPT上で動くアプリという選択肢も挙げています。
Q. 日本のEC事業者は、いま申し込めますか?
2026年10月9日時点では、どちらもすぐに参加できる状態ではありません。ChatGPTのショッピングは米国でのみ提供されていて、商品フィードの登録も承認されたパートナーに限られています。GoogleのUCPも、購入手続きの利用規約は米国のみで、早期アクセスの段階です。両社とも対象地域を広げる方針ですが、日本向けの時期は公表されていません。
Q. いまのうちに準備できることは何ですか?
商品データの整備です。ACPもUCPも、商品名・説明・画像・価格・在庫といった構造化された商品データを土台にしています。Googleは、Merchant Centerが広告やリスティングの商品データを準備する中心であり続けるとしています。Merchant Centerの商品フィードを正確で最新の状態に保てば、ショッピング広告の成果にも、将来のUCP対応にもそのまま役立ちます。
7. まとめ
ACPはOpenAIとStripeが2025年9月に公開した規格で、当初はChatGPTの中での購入を支えていました。その体験は終了し、いまはChatGPTのショッピングでの商品発見を支え、購入は事業者のサイトで行われます。UCPはGoogleがShopifyなどと2026年1月に公開した規格で、Google検索のAIモードとGeminiの中で購入手続きまで進められます。
どちらもオープンな規格で、販売の責任は事業者側に残ります。ただし2026年10月時点では、どちらも米国中心で、日本の事業者がすぐ参加できる状態ではありません。公開当時の情報のまま書かれた解説もあるので、計画の前に各社の事業者向けページで現状を確認してください。
いま取り組めるのは、規格への対応開発ではなく商品データの整備です。ChatGPTの商品フィードにも、Merchant Centerにも、広告用のデータが同じ土台の上に載っています。広告のために商品データを整えることが、そのまま将来の準備になります。
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