ABMとは?定義・実装ステップ・ツールを解説

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ABMとは?定義・実装ステップ・ツールを解説

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BtoBマーケティングを担っていると、リードは取れているのに商談化につながらない、狙いたい大手アカウントに情報が届かない、という壁にぶつかります。

広く集めて絞り込む従来型の発想では、購買が複数人で長期化するBtoB市場の構造に追いつけない場面が増えています。本記事では、ABM(アカウントベースドマーケティング)の定義から実装6ステップ、ツール比較までを一次情報をもとに整理して解説します。

01|ABMとは

ABMとは、自社にとって価値の高い特定企業(アカウント)をあらかじめ選定し、その企業に最適化したマーケティング・営業活動を統合的に行うBtoB戦略です。略語の「ABM」はAccount Based Marketingの頭文字で、「アカウントベースドマーケティング」とも呼ばれます。

最大の特徴は、評価単位が「個人のリード」ではなく「企業(アカウント)」である点です。

BtoBの購買は現場担当者・部門長・経営層など複数の関与者が長期間かけて意思決定するため、個人単位で接触履歴を追っても受注に直結しないことが多くあります。ABMは最初に「狙う企業」を定め、その企業の中の複数の関与者にメッセージや接点を最適化していく考え方を取ります。

ABMは2003年に業界団体ITSMAで正式化された概念で、当初から1社に深く入る「Strategic ABM」、課題が近い数社をまとめる「ABM Lite」、テクノロジーで数十〜数百社へ拡張する「Programmatic ABM」の3タイプが整理されています(出典:ITSMA公式)。

02|従来のマーケティングとの違い

従来のリードベースドマーケティング(デマンドジェネレーション)が「広く集めて段階的に絞り込む」発想であるのに対し、ABMは「最初に狙うアカウントを絞ってから深く接触する」発想を取ります。

ファネル形状で言えば、上から下に絞り込む通常のファネルに対し、ABMは限られたアカウントを起点に部門や担当者まで広げていく「逆ファネル」と表現されることもあります。

両者は対立する手法ではなく、商材特性や売上構造によって役割を使い分けるものです。

商材の単価が高く上位顧客の売上比率が大きいほどABMの相性が良く、検討者の母数を広げて確率で当てに行く商材ではリードベース型が向きます。

比較項目ABMリードベースドマーケティング
対象単位企業(アカウント)個人(リード)
アプローチ最初に絞り、深く・継続的に接触広く集め、段階的に絞り込む
主なチャネルターゲット広告・個別メール・経営層セミナー・営業協働SEO・広告・ホワイトペーパー・MA配信
効果測定アカウント別の商談化率・受注金額・LTVリード数・MQL/SQL数・CV単価
営業との関係計画段階から協働リード生成後にハンドオフ

BtoBリード獲得の全体像について詳しく解説している記事もございますので、あわせてご参照ください。

BtoBリード獲得手法12選|フェーズ別の選び方

03|ABMが注目される背景

ABMが日本国内でも改めて注目される背景には、BtoB購買のオンライン化、ツール環境の成熟、そして広告効率の頭打ちという3つの構造変化があります。

第一に、BtoBの購買行動が営業接触前にオンラインで進む構造が一般化しています。Gartnerは2020年9月のニュースリリースで、2025年までにBtoBの売り手と買い手のやり取りの80%がデジタルチャネルで発生すると予測しました(出典:Gartner公式ニュースリリース 2020年9月15日)。2026年3月のリリースでは、BtoBバイヤーの67%が営業担当者を介さない購買体験を好むと示されています(出典:Gartner公式ニュースリリース 2026年3月9日)。狙いたい企業の検討プロセスが見えないうちに進んでしまうため、企業単位で接点を設計する必要が高まっています。

第二に、CRM・SFA・MA・インテントデータといった企業情報を扱うツール群が整備され、アカウント単位での情報蓄積と施策実行が以前より実装しやすくなりました。社内データと外部の購買意図シグナルを掛け合わせる土台が整ったことが、ABMを概念から実装へと移しています。

第三に、リードベース型施策の効率が頭打ちになっている現場の感覚があります。リード数を伸ばしても受注金額が増えない、広告単価が上がり続けるといった課題に対し、上位顧客への集中投下で投資対効果を立て直す動きとしてABMが選ばれる場面が増えています。

04|メリットと課題

ABMには受注の質と組織連携を改善する側面がある一方、立ち上げコストや適合性の制約もあります。導入判断は両面を見て行う必要があります。

主なメリット

  • 投資対効果が見えやすい:アカウント別に商談化率・受注金額・LTVを追えるため、施策ごとの寄与が判断しやすくなります。
  • 営業マーケ連携の促進:対象アカウントを両部門で共有することで会話の前提が揃い、KPIや役割分担を見直すきっかけになります。
  • LTVの底上げ:上位顧客に深く入り込むアプローチは、アップセル・クロスセル機会を広げ、結果としてLTVを引き上げます。

導入前に押さえる課題

  • ターゲット選定の難易度:ICP(理想顧客像)の定義と社内合意に時間を要します。
  • 効果が出るまでの期間:商談化や受注で成果が見えるまで半年〜1年単位で評価する忍耐が必要です。
  • ツール・人的リソースのコスト:アカウント別のコンテンツ・接点設計を支える基盤が、小規模組織には重く感じられる場面があります。
  • 商材適合性:1社あたりの受注金額が小さい商材では、ABMの工数に見合う売上が得にくくなります。

05|ABM実装の6ステップ

ABMの実装は、ICP定義から効果測定までを6ステップに分けて段階的に進めるのが現実的です。各ステップを軽く触っても効果は出にくく、ステップ1〜2の精度がその後の全工程の質を決めます。

1. ICP(Ideal Customer Profile)の定義

  • 自社で受注実績・継続率の高い顧客を起点に、業界・売上規模・従業員数・関与部門・抱える課題を洗い出し、抽象化したICPを言語化します。受注実績ベースで定義することで、営業現場の納得感が得られやすく、社内合意の土台になります。

2. ターゲットアカウントリストの作成

  • ICPに該当する企業を数十〜数百社規模で具体名で列挙し、営業・マーケで合意したうえでリスト化します。Strategic ABM(数社)/ABM Lite(数十社)/Programmatic ABM(数百社)のどのタイプで進めるかを、リソースと商材単価に合わせて選びます。

3. アカウントごとの情報収集とインテントシグナル取得

  • 各アカウントの公開情報・営業履歴・MA/SFAの行動ログに加え、外部のインテントデータを組み合わせ、購買検討の温度感を捉えます。「自社関連キーワードの検索」「競合製品の比較」といったシグナルが、アプローチタイミング判断の起点になります。

    インテントシグナルの仕組みや代表ベンダーについて詳しく解説している記事もございますので、あわせてご参照ください。
    インテントデータとは?意味・種類・活用法・注意点を解説

4. コンテンツ・チャネル設計

  • アカウント単位・部門単位で、メール・広告・ホワイトペーパー・セミナー・営業資料を出し分けます。経営層には経営課題視点の調査レポート、現場担当者には導入事例や運用ノウハウなど、関与者別に訴求を変えるのがABMの肝です。

5. 営業マーケ連携の設計

  • リードのハンドオフ条件、SFAでのアカウント情報共有ルール、定例会議体(アカウントレビュー)を定め、営業とマーケが同じアカウント計画を見ながら動ける状態を作ります。ツールを入れる前にプロセスを決めることが、形骸化を避ける近道になります。

6. 効果測定とアカウント別ROI評価

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06|国内外の主要ABMツール

ABMツールは「ターゲット選定/インテント取得/施策実行/効果測定」のどの工程を担うかで使い分けるのが基本です。1ツールで全工程をカバーする海外プラットフォームと、特定工程に強みを持つ国内ツールが共存しています。

海外の主要プラットフォーム

  • 6sense:自社を「GTM Intelligence Platform」と位置付け、データ層「Signalverse」で毎日1兆規模のシグナルを処理し、購買準備段階のスコアリングに活用されています(出典:6sense公式)。
  • Demandbase:「Demandbase ONE™」としてABM・営業インテリジェンス・広告・データ統合を一体提供。Adobe・SAP Concur・Zoomなどが顧客として公表されています(出典:Demandbase公式)。
  • DemandScience:2024年11月にABM広告で知られたTerminusを統合し、ABMとシンジケーションを横断する「ABX」プラットフォームに再編されました(出典:DemandScience公式)。

国内の主要ツール

  • Sales Marker:Web検索シグナルから購買意図を可視化する国産サービス。560万社の法人データ、950万件の人物情報を扱い、600社以上の導入実績が公表されています(出典:Sales Marker公式)。
  • uSonar:1,250万件の法人データを基盤とするデータ統合プラットフォーム。ABMプラットフォーム「プランソナー」を提供しています(出典:uSonar公式)。
  • CRM・MA系(Salesforce/HubSpot/Adobe Marketo Engage):既存のSFA・MA運用とABMを地続きで広げたい組織で選ばれます。詳細は各社公式サイトでご確認ください。

選定軸を整理すると、以下のように工程ごとの得意領域が分かれます。

工程得意なツール例
ターゲット選定・名寄せuSonar、Sales Marker
インテント取得6sense、Sales Marker、Demandbase
施策実行(広告/メール/MA連動)Demandbase、DemandScience、Marketo Engage、HubSpot
効果測定・アカウント別ROIDemandbase、Salesforce、6sense

なお、複数社のデータを突合してアカウント別効果を見る場合、データクリーンルームが選択肢になることもあります。

データクリーンルームについて詳しく解説している記事もございますので、あわせてご参照ください。

データクリーンルームとは?仕組みと代表サービスを解説

07|Squad beyondでアカウント別LP・記事LP施策を高速化する

ABMでは、アカウント単位や業界単位で訴求軸を変えたLPや記事LPを用意し、検証しながら回すケースが増えています。Squad beyondは、LP制作・ABテスト・LPO・行動データ蓄積を一つの基盤で扱えるマーケティングプラットフォームで、アカウントごとに訴求を出し分け検証する運用工数の負担を抑える手段として活用されています。

株式会社Squadが2025年9月17日に公表したプレスリリースによれば、Squad beyondを通じた年間広告配信費は推定9,000億円規模に到達し、電通「2024年 日本の広告費」が示す国内ネット広告媒体費約2.9兆円の約30%にあたる水準とされています。導入実績は1,000社以上、大手デジタル広告代理店トップ20社のうち70%で導入されているとも公表されています(出典:株式会社Squadプレスリリース)。

08|ABMについてよくある質問(FAQ)

Q. ABMはどのくらいの企業規模から始めるべきですか?

A. 商材単価や受注金額が高く、上位顧客の売上比率が大きい事業であれば、組織規模を問わず取り組む価値があります。
1社あたりの受注額が小さい商材では、Strategic ABMよりもABM LiteやProgrammatic ABMから始めるほうが投資効率に合います。

Q. ABMとMAツールの違いは何ですか?

A. ABMは「狙うアカウントを定めて統合的に接触する戦略」、MAツールはその実行を支える基盤の一つです。
MA上にアカウント単位の集計・出し分けの仕組みを足すことで、リードベース運用からABM運用へと拡張できます。

Q. ABMの効果が出るまでにどのくらいかかりますか?

A. BtoBの購買サイクルが長いため、商談化や受注で効果が見えるまでに半年〜1年単位を要するのが一般的です。
先行指標として、対象アカウントのエンゲージメント変化(複数部門からの訪問、資料DLの広がり)を月次で追います。

Q. 営業マーケ連携が機能しない場合、何から見直すべきですか?

A. ツール導入より先に、ICPの定義とターゲットアカウントリストを両部門で共同作成し、「同じ企業リストを見ながら会話する」状態を作ることをおすすめします。
アカウントレビューの定例会議体を週次〜隔週で設けると、連携の質が底上げされます。

09|まとめ

ABMは、価値の高い特定企業を起点に営業とマーケティングを統合するBtoB戦略で、リードベース型の効率低下を補い、上位顧客への投資集中で受注の質を高めることを目的とした考え方です。

実装はICPの定義からターゲットリスト作成、情報収集、コンテンツ設計、営業マーケ連携、効果測定の6ステップで進め、各ステップを丁寧に揃えることが効果に直結します。

ツールは海外プラットフォームと国内特化サービスを工程別に組み合わせるのが現実的で、まずは小さなアカウント群で検証し改善サイクルを回しながら広げる進め方が、組織への定着を後押しします。

 

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