ランサムウェアの情報漏洩対策|広告を止めない体制

#活用方法
ランサムウェアの情報漏洩対策|広告を止めない体制

|広告運用ノウハウ公開中!

より詳しく知りたい方は資料をダウンロード!

ランサムウェアの話は、これまで情シスの担当範囲として扱われてきました。EDRを入れる、VPN機器の脆弱性をふさぐ、バックアップを取る。どれも広告運用の担当者が決められる領域ではありません。

ところが実際に止まったとき、いちばん早く数字が動くのは広告です。受注が止まれば配信を続ける意味がなくなり、配信を止めればそれまで積み上げた機械学習が振り出しに戻ります。復旧して受注を再開しても、広告の成果はすぐには戻りません。

アスクル株式会社は2025年10月、ランサムウェア感染によるシステム障害で「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」の受注・出荷業務を停止しました。同社は2026年5月期通期の連結決算でシステム障害対応費用として特別損失51億800万円を計上し、11月度(2025年10月21日〜11月20日)の単体売上高は前期同月度対比4.9%でした。この規模の停止が起きたときに、広告運用の側で何を用意しておけるのかという話は、ほとんど語られていません。

この記事では、止まったときに広告配信側で起きることを学習リセットの仕組みから整理し、公表されている数字で損害の規模を確認したうえで、情シスの対策とは別に運用者が準備しておくことをまとめます。

\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/

  • ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
  • ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
Squad beyond を10日間無料で試す >>

1. ランサム攻撃は、情報漏洩と事業停止を同時に起こす

IPAが公表している「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織編の1位が「ランサム攻撃による被害」です。2016年に初めて選出されて以降、上位に居続けている脅威です。

公表された情報を確認すると、半数以上がランサムウェア攻撃の被害であると報告されています(出典:情報セキュリティ10大脅威 2026 - IPA)。つまり情報漏洩の原因としても最大です。

身代金の要求というイメージで止まっていると見落とすのは、データを暗号化して業務を止めるだけでなく、持ち出したデータを公開すると脅す形が一般化している点です。暗号化だけなら復旧すれば終わりますが、持ち出されていれば情報漏洩として公表と通知の対応が必要になります。

この「同時に起きる」という性質が、広告運用にとって重要です。システムが止まれば配信先がなくなり、漏洩が確定すれば配信を続けるかどうかの判断が必要になります。

2. 止まると広告側で起きること|学習がリセットされる

配信を止めたときに発生する3つの損失を時系列で示した図|ランサムウェアの情報漏洩対策

ここが本記事の中心です。配信を止めることの損失は、止めている期間の機会損失だけではありません。

2-1. 長期間止めると、学習が振り出しに戻る

自社ブログの「連休明けに広告が落ちる?学習リセットの仕組みと立ち上げ対策」では、学習がリセットされる条件をこう整理しています。

ところが、次のような出来事が起きると、学習が振り出しに戻る、あるいは不安定になります。

連休中に配信を長期間止めた/連休明けに設定を大きく変更した(入札戦略の切り替え・キャンペーン構成・ターゲティング・クリエイティブなど)

学習がリセットされると、システムは再び「学習期間」に入り、この間はパフォーマンスが不安定になります。

ここで挙がっている条件の1つ目が、そのままインシデント時の停止に当てはまります。連休で成立する因果は、障害による停止でも同じ形で成立します。

同記事はこう続けています。

つまり連休明けの不調は「運が悪かった」のではなく、仕組み上ある程度予測できる現象です。仕組みを理解すれば、事前に手を打てます。

予測できる現象なら、事前に手を打てます。インシデントの発生時期は選べませんが、止まったときに何が起きるかは先に分かっているということです。

学習期間の仕組みと媒体別の違いは「連休明けに広告が落ちる?学習リセットの仕組みと立ち上げ対策」で詳しく扱っています。

2-2. 復旧後の「戻らない期間」が二重に発生する

損失の構造を分けて書くと、次の3つが順番に起きます。

  1. 停止期間の機会損失:配信していない期間に取れなかったCV
  2. 再学習期間の不安定:配信を再開してから学習が進むまでCPAが跳ねる
  3. 設定変更による追加のリセット:復旧時に構成を触ると、さらに学習がやり直しになる

多くの試算は1だけを数えます。しかし実際に効くのは2と3で、ここは停止期間の長さとは別に発生します。1週間止めたから1週間で戻るという形にはなりません。

2-3. 復旧時に設定を触ると、リセットが重なる

3つ目を避けるために、Google広告の仕様を押さえておきます。自社記事の整理では、次のようになっています。

Google広告では、自動入札戦略に変更を加えると、新しい目標に向けて調整されるまでの間、入札戦略のステータスが「学習中」になります。「学習中」になる理由は、次の3つのいずれかです。

新しい戦略:入札戦略を新しく作成した、または再度有効にした/設定の変更:入札戦略の設定を変更した/構成要素の変更:キャンペーン・広告グループ・キーワードを、入札戦略に追加または削除した

注目したいのは1つ目です。「再度有効にした」も学習中になる理由に含まれています。停止していたキャンペーンを再開するという行為そのものが、学習の起点になります。

そこに「CPAが悪化しているから入札目標を下げよう」「構成を整理しよう」を重ねると、リセットが二重三重になります。復旧直後に触らないほうがよいのは、このためです。

3. 止まるといくら失うのか|公表されている数字で見る

規模感がないと準備の優先度が決まらないので、公表値を1件だけ確認します。

アスクル株式会社は2025年10月19日、ランサムウェア感染によるシステム障害の発生を公表し、「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」の受注・出荷業務を停止しました(出典:ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び(第1報) - アスクル株式会社)。その後に公表された数字は次の通りです。

項目(会計期間・区分)公表値
システム障害対応費用(特別損失/2026年5月期通期・連結)51億800万円
親会社株主に帰属する当期純損失(2026年5月期通期・連結)221億5,000万円の赤字
営業損失(2026年5月期通期・連結)174億4,500万円の赤字
休止固定資産減価償却費(営業外費用/2026年5月期通期・連結)12億6,900万円
11月度(2025年10月21日〜11月20日)の単体売上高16億9,800万円(前期同月度343億9,900万円に対して前期同月度対比4.9%)

単体売上高が前期同月度の4.9%まで落ちたという数字が、停止の実体を示しています(出典:2026年5月期11月度月次業績のお知らせ - アスクル株式会社。20日仮締めベースの単体実績で、公認会計士または監査法人による関与を受けていない数値です)。売上がほぼ立たない月が発生し、それが通期の赤字につながっています。ただし2026年5月期通期の当期純損失221億5,000万円は、全額が本事案によるものではありません。通期の特別損失合計108億200万円には、システム障害対応費用51億800万円のほかに、本事案とは別件の株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失48億2,300万円と、固定資産除却損7億8,000万円が含まれます。

この規模になると、広告予算をどうするかは運用者の判断を超えます。ただし判断が上から降りてきたときに即座に動ける状態かどうかは、事前の準備で決まります。

進捗は同社のリリースで公表されており、2026年2月13日公表のサービスの復旧状況について(ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第18報)まで出ています。公表の粒度としても参照できる形です。

4. 情シスの対策と、運用者の準備は別のもの

ランサムウェア対策を検索すると、EDRの導入、MFAの適用、VPN機器の脆弱性対応、バックアップの設計が並びます。警察庁とIPAも対策ページを公開しています。

これらは広告運用の担当者が決める領域ではありません。だから「対策は情シスがやること」で終わってしまい、運用者側の準備が空白のまま残ります。

分界を表にすると、やることが見えます。

局面情シス・セキュリティ部門広告運用者
平時EDR・MFA・脆弱性対応・バックアップ配信実績の記録を外に持つ・受け皿の切り分け
発生直後通信遮断・影響範囲の特定配信を止めるかの判断材料を出す
公表・通知報告・通知の実施配信中のクリエイティブと遷移先の点検
復旧システムの復旧触らずに戻す・学習の立ち上げ

運用者の列に書いてあることは、どれも平時にしか準備できません。発生してから考えると間に合いません。

5. 止まる前にやっておく2つのこと

5-1. 配信実績の記録が、止まった管理画面の中にしかない

  • 症状:障害でアカウントや社内の分析環境にアクセスできなくなった瞬間、過去の実績が参照できなくなる。「止める前はCPAがいくらだったか」が分からないので、復旧後に戻ったかどうかの判定ができません。復旧の報告を求められても、比較対象がない状態で話すことになります。
  • 原因:実績の確認を管理画面とダッシュボードの画面上で済ませているためです。日々の運用では画面を見れば足りるので、わざわざ手元に写す動機がありません。結果として、記録が「止まる側」にしか存在しない構造になります。社内の共有ドライブに置いていても、その共有ドライブ自体が影響範囲に入れば同じです。
  • 対策:媒体別・キャンペーン別のCPAとCV数を、月次で1枚のファイルに落として影響範囲の外に置くことです。項目は多くなくて構いません。媒体名、キャンペーン名、配信費用、CV数、CPA、期間の6列あれば、復旧後の比較には足ります。更新は月1回で十分なので、運用の負荷もほとんど増えません。
  • 回避策:復旧判定の基準を先に決めて同じファイルに書いておくことです。「主要キャンペーンのCPAが停止前の1.2倍以内に戻るまでは構成を触らない」のように、数字で書きます。基準がないと、復旧直後の悪い数字を見て設定を変えてしまい、第2章で触れた学習リセットの二重化が起きます。平時に決めておけば、慌てている最中に判断しなくて済みます。

5-2. 受け皿のページが1つしかなく、全部が同じ運命になる

  • 症状:サイトや予約システムが止まると、広告の遷移先が全滅する。遷移先がエラーのまま配信が続けば費用だけが出ますし、全部止めれば学習が全部リセットされます。「一部だけ生かす」という選択肢が構造的に取れません。
  • 原因:広告の遷移先が本体サイトの1系統に集約されているためです。本体サイトはCMSもフォームも決済も同じ環境にあるので、障害の影響範囲が広くなります。遷移先を分散させる理由が平時には見当たらないので、集約されたままになります。
  • 対策:問い合わせや資料請求の受け皿を、本体サイトとは別の環境に1系統用意しておくことです。全部を二重化する話ではなく、「最低限これだけは生かす」導線を1本決めます。広告運用の観点では、配信を完全に止めずに済む経路が1本あるだけで、学習の立ち上げ直しを部分的に避けられます。
  • 回避策:平時の運用で受け皿を訴求ごとに分けておくと、結果的に分散します。訴求ごとにページを分けるのはCVR改善のために行うことですが、置き場所を分散させておけば、障害時に「どれが生きているか」を選べる状態になります。目的は別でも、効果は重なります。

6. Squad beyondで、受け皿を本体サイトの外に持つ

ここまで見てきたとおり、運用者側で平時にできるのは「記録を外に持つこと」と「受け皿を分けておくこと」の2つです。

Squad beyondは、広告の遷移先となるLPを本体サイトとは別の環境で作成・公開・差し替えできるツールです。訴求ごとにページを複製して並行配信し、結果を見て寄せていくという使い方が本来の用途ですが、結果として遷移先が本体サイトの1系統に集約されない形になります。

障害時に取れる選択肢が1つ増えるというのは、広告運用では学習を守ることに直結します。全部止めるか、全部出し続けるかの二択を避けられるためです。

計測の面でも同じことが言えます。何をどこで取得しているかが分かれていれば、影響範囲を切り分けやすくなります。預かったデータや計測データの扱いについては「個人情報保護法改正2026|広告運用者が押さえるポイントを解説」で整理しています。

外部ツールを接続して運用している場合のリスクの確認点は「MCP導入のセキュリティリスクと注意点|安全に使うためのチェックリスト」にまとめました。

\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/

  • ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
  • ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
Squad beyond を10日間無料で試す >>

7. ランサムウェアと広告配信についてよくある質問(FAQ)

Q. ランサムウェアによる情報漏えいはどのようなものですか

データを暗号化して業務を止めるだけでなく、持ち出したデータを公開すると脅す形が一般化しています。暗号化だけなら復旧すれば業務は戻りますが、持ち出されていた場合は情報漏洩として公表と本人への通知が必要になります。つまり事業停止と情報漏洩が同時に起きる形です。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では組織編の1位がランサム攻撃による被害で、公表された情報の半数以上がランサムウェア攻撃の被害であると報告されています。

Q. 障害が起きたら広告は止めるべきですか

遷移先が機能していないなら、その配信は止める判断になります。ただし全部を止めると、それまで積み上げた機械学習が振り出しに戻り、再開後も学習期間に入ってパフォーマンスが不安定になります。判断の材料として、どのキャンペーンの遷移先が生きているかを切り分けられる状態にしておくことが重要です。受け皿が本体サイトの1系統に集約されていると、この切り分けができず二択になります。

Q. 復旧したらすぐ元の成果に戻りますか

戻りません。停止期間の機会損失に加えて、再開後の再学習期間が別に発生します。Google広告では入札戦略を「再度有効にした」ことも学習中になる理由に含まれているため、停止していたキャンペーンを再開する行為そのものが学習の起点になります。さらに復旧時に入札目標や構成を触ると学習リセットが重なるので、1週間止めたから1週間で戻るという形にはなりません。

Q. 止まるとどのくらいの損害になるのですか

公表されている例があります。アスクル株式会社は2025年10月19日にランサムウェア感染によるシステム障害の発生を公表して「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」の受注・出荷業務を停止し、2026年5月期通期の連結決算でシステム障害対応費用として特別損失51億800万円、親会社株主に帰属する当期純損失221億5,000万円を計上しました(出典:2026年5月期決算短信 - アスクル株式会社)。この当期純損失には、本事案とは別件の減損損失48億2,300万円も含まれます。11月度(2025年10月21日〜11月20日)の単体売上高は16億9,800万円で、前期同月度の343億9,900万円に対して前期同月度対比4.9%です。この規模になると広告予算の判断は運用者の裁量を超えますが、判断が降りてきたときに即座に動けるかは事前の準備で決まります。

Q. 広告運用者が平時にできることは何ですか

2つあります。1つは媒体別・キャンペーン別のCPAとCV数を月次で1枚のファイルに落とし、影響範囲の外に置くことです。復旧後に「戻ったかどうか」を判定する比較対象になります。もう1つは、問い合わせや資料請求の受け皿を本体サイトとは別の環境に1系統用意しておくことです。Squad beyondのように遷移先のLPを本体サイトの外で作成・差し替えできる環境があると、障害時に全部止めるか全部出し続けるかの二択を避けられます。

8. まとめ

ランサムウェア対策の情報は、EDR・MFA・脆弱性対応・バックアップといった予防策に集まっています。警察庁とIPAも対策ページを公開していて、これらは情シスやセキュリティ部門の領域です。

一方で、実際に止まったときにいちばん早く数字が動くのは広告です。配信を止めれば機械学習が振り出しに戻り、再開後も学習期間に入ってパフォーマンスが不安定になります。損失は停止期間の機会損失だけではなく、再学習期間と、復旧時に設定を触ったことによる追加のリセットが重なります。

規模の目安として、アスクル株式会社は2026年5月期通期(2025年5月21日〜2026年5月20日)でシステム障害対応費用として特別損失51億800万円、親会社株主に帰属する当期純損失221億5,000万円を計上しました。この当期純損失には本事案とは別の減損損失48億2,300万円も含まれます。11月度(2025年10月21日〜11月20日)の単体売上高は前期同月度対比4.9%でした。

運用者側で平時にできることは2つです。媒体別・キャンペーン別のCPAとCV数を月次で1枚にまとめ、影響範囲の外に置くこと。そして問い合わせや資料請求の受け皿を、本体サイトとは別の環境に1系統用意しておくこと。

どちらも発生してからでは間に合いません。そして復旧の局面でいちばん効くのは、復旧判定の基準を数字で先に決めておくことです。基準がないと、再学習の途中の悪い数字を見て設定を変えてしまいます。

\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/

  • ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
  • ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
Squad beyond を10日間無料で試す >>

 

Squad beyond サービス紹介資料

Squad beyondサービス紹介資料はこちらからダウンロード

Squad beyondの活用による具体的な成果をもっと知る

3点セット
  • 厳選LP集
  • Squad beyondで「超カンタンに制作」されて効果を上げた実際のLP集
  • Squad beyondで売上を50%上げた実績紹介

Squad beyondとは何かから、どう成果を出すかまで、まるっと分かる厳選資料3点セットです。