AI音声の商用利用|広告でどこまで使えるか
|広告運用ノウハウ公開中!
より詳しく知りたい方は資料をダウンロード!
「AI音声を広告のナレーションに使っていいのか」——この問いに対して、ツールの利用規約を見れば答えが出ると考えていないでしょうか。
規約で商用利用が認められていることは、確認すべきことの1つにすぎません。2026年9月30日、東京地裁が人の声もパブリシティ権の保護対象となり得るとの判断を示しました。生成AIで声優の声を模倣した動画をめぐる訴訟で、初めて示された判断です。
そして示された侵害の条件の2つ目が、「専らその声の顧客吸引力を利用する目的である」こと。これは広告の定義そのものに近い内容です。有名人や声優の声に似せて商品を売るという行為は、この要件に正面から当たります。
この記事では、商用利用の範囲を確定させたうえで、判決が何を示して何を示していないのかを整理し、出稿前に確認する4つの層と、それを広告の制作工程のどこに置くかをまとめます。
\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/
- ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
- ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
目次
1. まず「商用利用」の範囲を確定する
自社ブログの「画像生成AIの商用利用とは?」では、商用利用をこう定義しています。
そもそも「商用利用」とは、直接的・間接的を問わず、利益を得る目的でコンテンツを利用することを指します。
広告のナレーションは、直接的に利益を得る目的でコンテンツを使う行為です。つまり最も厳しい側の商用利用に当たります。
ここを曖昧にしたまま「無料で商用利用OK」という表記を見て進めると、後の判断がずれます。無料枠で使えることと、広告として配信できることは別の確認です。
1-1. 「商用利用可」が答えにならない理由
ツールの規約に「商用利用可」と書かれていても、確認が終わるわけではありません。規約が保証しているのは、そのツールの提供者との関係だけです。
生成した音声が第三者の権利を侵害していないかは、ツールの提供者が保証する範囲の外です。ここが分かれ目になります。
2. 2026年9月30日の東京地裁判決
2-1. 何が示されたのか
ある声優が、生成AIで自身の声を無断で模倣した動画が公開されたとして、短編動画投稿アプリTikTokの運営会社に動画の削除を求めた訴訟です。
東京地裁は、人の声もパブリシティ権の保護対象となり得るとの判断を示しました。これが初めての判断として報じられています(出典:声にも「パブリシティー権」初判断 生成AIで模倣、人気声優訴え―削除請求は退ける・東京地裁 - 時事通信)。業界団体は「声優に追い風」と受け止めている旨が報じられています。
2-2. 削除請求は棄却されたが、「使ってよい」という判断ではない
ここを正しく押さえないと、結論が逆になります。
削除請求は全請求が棄却されました。 ただし棄却の理由は、口頭弁論終結前に削除対象のデータがなくなっていたことです。
つまりこの判決は、本件音声の権利侵害を認めた判断でもなく、生成AIによる声の模倣を適法とした判断でもありません。請求が通らなかったという結果だけを見て「問題なかった」と読むのは誤りです。
2-3. 侵害の2要件は、広告に正面から当たる
報じられている侵害の条件は2つです。
- 声に顧客吸引力があること
- 専らその声の顧客吸引力を利用する目的であること
2つ目を広告の文脈で読み替えると、「その声だから買ってもらえる」という狙いで使うことになります。これは広告における有名人起用の定義そのものです。
有名人や声優の声に似せたAI音声を使って商品を売るという設計は、要件2を満たす方向に寄ります。1つ目の顧客吸引力も、有名であることが前提なら満たされやすくなります。
なお判決に先立つ2026年8月7日、法務省の有識者検討会が生成AIによるパブリシティ権侵害の解釈指針をまとめた報告書を公表しています。判決と報告書の2つが、同じ年に出ている状況です。
*本記事は判決と報告書の存在と、報じられている要件の整理までを扱います。個別の案件が侵害に当たるかの判断は、弁護士に確認してください。*
3. 確認する層は4つある
AI音声を広告で使うときに確認すべきものを層で分けると、見落としが減ります。
| 層 | 確認するもの | 確認先 |
|---|---|---|
| 1 | ツールの利用規約 | ツール提供者のページ |
| 2 | 読み上げる原稿の権利 | 自社で作ったか、引用があるか |
| 3 | 生成された音声そのものの権利 | ツールの規約と学習データの出所 |
| 4 | 声の権利(パブリシティ権) | 誰の声に似ているか |
3-1. 層1〜3は「ツール選び」でほぼ決まる
層1から3は、どのツールを使うかで大きく決まります。
参考になるのは、画像生成AIで成立している判断軸です。自社ブログでは、Adobe Fireflyの安全性をこう説明しています。
Adobe Stockのロイヤリティフリー画像、オープンライセンスのコンテンツ、著作権が期限切れとなったパブリックドメインのコンテンツのみを学習データとして使用しています。そのため、他者の著作物を意図せず侵害するリスク(が低い)
一方で、別のツールについてはこう書いています。
学習データについてはインターネット上の広範な画像が含まれているとされており、プロンプトの入力には一定の注意が求められます。
学習データの出所で判断するというこの軸は、音声でも同じ形で使えます。どのデータで学習したモデルなのかを確認し、出所が明示されているものを選ぶほうがリスクが低くなります。
画像側の整理は「画像生成AIの商用利用とは?おすすめツールと活用のコツを紹介」にまとめています。
音声合成ツールそのものの仕様・料金・制作の流れは「Gemini 3.8 Flash TTS|広告音声の作り方」で扱っています。
3-2. 層4はツールでは解決しない
層4の声の権利は、ツール選びでは解決しません。どの声に似せるかという、使い方の問題だからです。
規約上で商用利用が認められているツールを使っても、特定の人物の声に寄せた音声を広告に使えば、要件2に近づきます。確認するのは「このツールは使っていいか」ではなく「この声は使っていいか」です。
4. 出稿前のどこで確認するか
確認項目を並べただけでは運用に乗りません。工程のどこに置くかを決めます。
| 工程 | 置く確認 |
|---|---|
| 台本を書く段 | 層2(原稿の権利)。引用や既存コピーの流用がないか |
| ツールを決める段 | 層1・3(規約と学習データの出所)。案件ごとに変えない |
| 声を選ぶ段 | 層4(声の権利)。実在の人物に寄せていないか |
| 入稿する段 | AI生成であることの開示設定 |
重要なのは、層4を「声を選ぶ段」に置くことです。生成したあとや入稿直前に気づくと、作り直しになります。
4-1. 声を選ぶ段のチェックは2つだけ
実務で回すなら、質問は2つに絞れます。
- この声は、特定の実在の人物を想起させるか
- その人物を想起させることが、この広告の狙いに含まれているか
1と2の両方がイエスなら、止めて確認します。1だけイエスで2がノーなら、声を変えて1をノーにできないか検討します。
4-2. 入稿時の開示は別の論点として残る
権利の確認とは別に、AI生成であることの開示が必要になる場合があります。自社ブログの整理では次のようになっています。
AI生成広告の開示義務とは、生成AIで作成または実質的に改変したコンテンツを広告として配信する際、「AIで生成された旨」をユーザーが認識できる形で表示する義務を指します。
EU AI Actの透明性義務は、2026年8月2日にすでに適用が始まりました。
違反するとアカウント停止やポリシー違反のペナルティに直結します。
媒体別・国別の開示要件は「AI生成広告の開示義務|Meta・Google・各国ルールを解説」で扱っています。
5. 判断で詰まる2点
5-1. 「似ている」の判定が担当者ごとに違う
- 症状:AI音声のサンプルを聞いて、ある担当者は「あの声優に似ている」と言い、別の担当者は「言われなければ気づかない」と言う。判断が分かれたまま進み、入稿直前や公開後に指摘されて差し替えになります。判定の記録も残らないため、次に同じ声を使うときにまた議論が起きます。
- 原因:似ているかどうかを感覚で判定しているためです。声の類似は画像より言語化しにくく、聞く人の視聴経験に左右されます。アニメをよく見る担当者は気づき、見ない担当者は気づきません。基準がないと、気づいた人が指摘するまで進んでしまいます。
- 対策:判定を1人の感覚に任せず、複数人で聞いて記録することです。3人に聞かせて「誰かを想起したか」「誰を想起したか」を1行で書かせます。1人でも具体的な人物名が出たら、その声は使わないという基準にします。記録を声のIDと一緒に残せば、次に同じ声を選ぶときに判断を繰り返さなくて済みます。
- 回避策:実在の人物を想起させにくい声を、案件を横断して決めておくことです。案件ごとに毎回選ぶと、そのたびに判定が必要になります。自社で使う声を数パターンに絞り、その判定を一度きちんと行えば、以降は選ぶ段の確認が軽くなります。ブランドの音声の一貫性という面でも利点があります。
5-2. 権利の確認で止まって、検証が進まない
- 症状:権利の判断に時間がかかり、ナレーションのパターンを試す段まで進まない。結果として従来のまま外注で1本だけ作り、AI音声を使う検討そのものが止まります。あるいは逆に、確認を飛ばして進めてしまいます。
- 原因:権利の確認と制作の検証を、同じ工程で扱っているためです。「使っていいか」が決まらないと作れないと考えると、全部が止まります。実際には、層1から3はツールを決めた時点で一度確認すれば済み、案件ごとに繰り返す必要がありません。
- 対策:層1〜3を「ツール選定」として先に1回で終わらせることです。使うツールを決め、規約と学習データの出所を確認し、記録を残します。これを案件の外側に置けば、案件ごとに確認するのは層4(声の選択)と開示設定だけになります。確認の回数が減れば、検証に使える時間が増えます。
- 回避策:検証の対象を権利の判断が要らない部分から始めることです。ナレーションのトーンや尺の違いを比べるだけなら、声を1つに固定したまま進められます。声の選択を変えずに検証を回し、声の候補を増やす判断は別に進める。工程を分けると、どちらも止まりません。景表法やステマ規制との関係は「Web広告規制ガイド2026|景表法改正やステマ規制を解説」で整理しています。
6. Squad beyondで、確認した音声を試す場を用意する
権利の確認を終えたあとに必要なのは、実際に配信して比べることです。ナレーションのトーンを変えたパターンを作っても、着地するページが1枚なら読み取れるのは動画側の差だけになります。
Squad beyondは、LPを複製して見出しや文言を差し替え、並行して配信しながら結果を見られるツールです。ナレーションで打ち出した訴求ごとに遷移先を用意し、組で比べるという使い方ができます。
音声は差分として作りやすい要素です。だからこそ、権利の確認を一度で済ませる仕組みと、確認済みの声で検証を回せる受け皿の両方が揃っていると、進みが速くなります。
\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/
- ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
- ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
7. AI音声の商用利用についてよくある質問(FAQ)
Q. 生成AIの音声は商用利用できますか
ツールによって異なりますが、商用利用を認めているものがあります。ただし「商用利用可」という表記が保証しているのは、そのツールの提供者との関係だけです。生成した音声が第三者の権利を侵害していないかは、ツールの提供者が保証する範囲の外になります。広告のナレーションは直接的に利益を得る目的でコンテンツを使う行為なので、最も厳しい側の商用利用に当たります。規約の確認は必要な手順の1つにすぎないという前提で進めてください。
Q. 音声生成AIは違法ですか
音声生成AIそのものが違法という整理にはなっていません。論点になるのは使い方です。2026年9月30日、東京地裁は人の声もパブリシティ権の保護対象となり得るとの判断を示しました。報じられている侵害の条件は、声に顧客吸引力があること、そして専らその声の顧客吸引力を利用する目的であることの2つです。実在の人物の声に似せて商品を売る設計は、この2つ目に近づきます。個別の案件が侵害に当たるかの判断は、弁護士に確認してください。
Q. 2026年9月の判決では請求が棄却されたのですよね
削除請求は全請求が棄却されています。ただし棄却の理由は、口頭弁論終結前に削除対象のデータがなくなっていたことです。つまりこの判決は、本件音声の権利侵害を認めた判断でもなく、生成AIによる声の模倣を適法とした判断でもありません。請求が通らなかったという結果だけを見て「問題なかった」と読むのは誤りです。示されたのは、人の声もパブリシティ権の保護対象となり得るという一般論の側です。
Q. 声が誰かに似ているかの判定はどうすればいいですか
1人の感覚に任せないことです。声の類似は画像より言語化しにくく、聞く人の視聴経験に左右されます。3人に聞かせて「誰かを想起したか」「誰を想起したか」を1行で書かせ、1人でも具体的な人物名が出たらその声は使わない、という基準が実務的です。記録を声のIDと一緒に残せば、次に同じ声を選ぶときに判断を繰り返さずに済みます。実在の人物を想起させにくい声を案件横断で数パターンに絞っておくと、選ぶ段の確認が軽くなります。
Q. 権利の確認をしながら検証も進める方法はありますか
工程を分けるのが有効です。ツールの規約と学習データの出所の確認は、ツール選定として案件の外側で1回済ませます。案件ごとに残るのは声の選択と開示設定だけです。そのうえで、声を1つに固定したままナレーションのトーンや尺の違いを比べれば、権利の判断を待たずに検証が回ります。Squad beyondのようにLPを複製して訴求ごとの遷移先を用意できる環境があると、確認済みの声で比較を進められます。
8. まとめ
AI音声を広告に使う判断は、ツールの利用規約だけでは決まりません。規約が保証しているのは、そのツールの提供者との関係だけです。
2026年9月30日、東京地裁は人の声もパブリシティ権の保護対象となり得るとの判断を示しました。報じられている侵害の条件は、声に顧客吸引力があること、専らその声の顧客吸引力を利用する目的であることの2つです。2つ目は広告における有名人起用の定義に近く、実在の人物の声に似せて商品を売る設計は正面から当たります。
削除請求は全請求が棄却されましたが、理由は口頭弁論終結前に削除対象のデータがなくなっていたことです。侵害を認めた判断でも、声の模倣を適法とした判断でもありません。判決に先立つ2026年8月7日には、法務省の有識者検討会が生成AIによるパブリシティ権侵害の解釈指針をまとめた報告書を公表しています。
確認する層は4つです。ツールの利用規約、原稿の権利、生成音声の権利、そして声の権利。前の3つはツール選定として一度で済み、案件ごとに必要なのは声の選択と開示設定だけです。
声の判定は1人の感覚に任せないでください。3人に聞かせて具体的な人物名が出たら使わない、という基準を置き、記録を声のIDと一緒に残します。実在の人物を想起させにくい声を案件横断で数パターンに絞ると、確認が軽くなります。
\LPの制作から検証まで、ひとつの画面で/
- ・10日間、有料プランの機能を無料でお試しいただけます
- ・LP制作からA/Bテスト、効果測定までワンストップ
Squad beyondサービス紹介資料はこちらからダウンロード



