EC CVR改善ガイド:集客から購入までを一気通貫で売れる仕組みを整える
目次
序章
2026年のデジタルマーケティングは、大きく環境が変わっています。Cookie制限の進行、生成AIによる制作の効率化、GoogleのP-MAXやMetaのAdvantage+(ASC)のような自動化配信の普及など、運用の前提が以前と変わりつつあります。便利になった一方で、配信の中身が見えにくくなり、「思った通りに成果を調整しづらい」と感じる場面も増えました。
その中で現場を見ていてよく起きているのが、「集客(広告)」と「接客(LP・フォーム改善)」が別々に動いてしまうことです。広告側はCPCやCPAを見て、制作や運営側は離脱率やデザインを見ている。どちらも大事なのに、KPIが分かれてしまい、改善が部分最適で止まるケースがあります。
本レポートでは、この分断を減らすために、広告運用とLPOをセットで考えるCVR改善の進め方を整理します。一般的に語られやすい改善策(競合サービスが提案する手法)も押さえつつ、Squad beyondの機能(Branch、Widget、High Quality Modeなど)を、どう使えば「運用と改善がつながる状態」を作れるかをまとめました。
内容は、よくあるノウハウ集というより、現場で回せる形に落とした“実務寄りの手順書”を目指しています。行動経済学の考え方や、広告配信の近年の変化も交えながら、集客から購入までを一つの流れとして改善していくための視点を整理します。
第1章:CVRを正しく見る:定義・目安・落ちる原因を整理する
ECのCVR改善を進めるなら、まず「CVRが何を表しているか」を整理しておくと動きやすくなります。CVRは1つの数字ですが、見方を間違えると、改善策がズレてしまうことがあります。
1.1 CVRの定義と、分母の違い
一般的なCVRは次の式で計算します。
CVR(%)=(コンバージョン数 ÷ セッション数 または 訪問者数)× 100
ここで注意したいのは、分母を何にするかで意味が変わる点です。
- セッションベースCVR:訪問回数に対して成果が出たか(広告の誘導効率を見やすい)
- ユーザーベースCVR:人に対して成果が出たか(検討期間が長い商材だと実態に近い)
また、CVRを「全体平均」だけで見てしまうと、改善の方向が曖昧になります。流入経路によってユーザーの温度感が違うため、チャネル別に目標を分けるのが現実的です。
流入チャネル別の目安(例)
- 指名検索(Branded):買う前提で来ることが多い
→ 迷わせない導線・決済までの短さが重要(LPよりEFO寄り) - 一般検索(Generic):比較検討が中心
→ 差別化ポイント、オファー設計、情報の出し方が勝負 - ディスプレイ/SNS広告:まだ必要性が固まっていない
→ 悩みの共感→理解→納得の流れを作る(記事LP・動画が効きやすい)
「指名検索のCVRが高い」のは自然なことなので、伸ばしたいのはむしろ一般検索やSNSなど、温度感が低い層をどう育てるかになります。
流入経路別CVRの目標設定
ユーザーの心理状態(ファネル)に応じた適切なKPI設定が不可欠です。
| 流入チャネル | ユーザー心理 | 目標CVR目安 | 戦略的意図 |
| 指名検索 (Branded) | 「あの商品が欲しい」 指名買い、ブランド想起 | 10%以上 | 既に購入意欲がMaxの状態。迷わせないUI、最短の決済フローが全て。LPOよりもEFOが重要。 |
| 一般検索 (Generic) | 「夏用 ワンピース」「メンズ 化粧水」 比較検討段階 | 1% - 3% | 競合と比較されている。LPでの差別化、オファー(初回限定など)の強さが勝負。 |
| ディスプレイ・SNS広告 | 「なんとなく見ている」 潜在層・非認知層 | 0.5% - 1.5% | ニーズが顕在化していない。記事LPや動画で「悩み」を喚起し、欲求を醸成するプロセスが必要。 |
このように、指名検索のCVRが高いのは当たり前であり、広告運用者の腕の見せ所は、いかに一般検索やSNS経由の「コールドトラフィック」をCVさせるかにかかっています。
1.2 業界別・商材別ベンチマークの深層分析
「自社のCVRは適正なのか?」という問いに答えるため、業界別の平均値とその背景要因を分析します。Future ShopやWordStreamのデータを基に、2026年時点での市場傾向を読み解きます 。
| 業界・カテゴリ | 平均CVR | 構造的背景とCVR変動要因 |
| ギフト・贈答品 | 4.9%前後 | 目的(誕生日、母の日)と期限が明確なため、決断の先送りが少ない。のし・ラッピング対応の可否がCVRを左右する。 |
| 健康食品・医薬品 | 4.9%前後 | 「コンプレックス解消」という強い動機がある。定期購入(サブスク)のオファー設計(初回500円など)により、初回ハードルを極限まで下げているケースが多い。 |
| アパレル・ファッション | 4.2%前後 | 視覚的訴求が強く、衝動買いが起きやすい。一方で、サイズ不安による離脱も多い。「返品無料」施策がCVR向上の鍵 2。 |
| 自動車関連 | 2.2%前後 | 単価が高く、Web完結ではなく「来店予約」や「カタログ請求」がCV地点になることが多い。 |
| 家電・PC・家庭用品 | 1.4% - 1.7% | 「型番商品」であり、Amazonや価格.comとの価格比較が激しい。サイト独自の付加価値(延長保証、セット販売)がないとCVRは伸び悩む。 |
単価とCVRは反比例の関係にあります。高単価商材で無理に「即時購入」を迫るとCVRは低下します。この場合、マイクロコンバージョン(LINE登録、資料請求)を中間に挟む「2ステップマーケティング」への転換が、LPOの観点からも推奨されます。
1.3 CVR低下の3大要因構造:なぜ「穴」が開くのか?
CVRが低下する原因を構造化すると、以下の3点に集約されます 。
トラフィックの質のミスマッチ
- 現象: サイトへのアクセス数はあるが、直帰率が高い。
- 原因: 広告のクリエイティブ(バナーや動画)と、着地したLPの内容が乖離している。あるいは、そもそもターゲットではない層(例:高額商品なのに学生層)に配信されている。
- 対策: これはLPOの問題ではなく、広告運用の問題です。第2章で詳述する「除外設定」や「クリエイティブ整合性」が必要です。
サイト構造とUXの欠陥
- 現象: 商品ページまでは見られているが、カート投入されない。あるいはカートには入るが購入されない。
- 原因:
・情報不足: 送料、サイズ感、成分などが不明瞭。
・信頼不足: 「このサイトは安全か?」という不安(SSL未対応、運営者情報が怪しいなど)。
・導線不備: カートボタンが見つけにくい、入力フォームが面倒。 - 対策: ここがLPOとEFOの主戦場です。第3章・第5章でSquad beyondを用いた解決策を提示します。
市場環境と外部要因
- 現象: 以前と同じ運用をしているのに、急にCVRが下がった。
- 原因:
・競合の出現: ライバルがより安い価格や魅力的なオファーを開始した。
・季節性: 季節外れの商品を売っている 。
・プラットフォームの変化: 媒体アルゴリズムの変更により、配信面が変わった。
本レポートでは、特に手を入れやすい 「①トラフィックの質のミスマッチ」と「②サイト構造とUXの欠陥」 をセットで改善する考え方を中心に扱います。
「LPOは効果がありますが、流入してくるユーザーの質が合っていないと伸びにくいのも事実です。どれだけLPを整えても、購入する可能性が低いユーザーばかりが来ると、CVRは上がりません。ここでは2026年の広告運用で意識したいポイントを整理します。
第2章:広告運用でムダを減らす:流入の質を整える基本
2.1 Google広告 P-MAXの配信を“ある程度”コントロールする
P-MAXは自動化が進んでいて便利ですが、意図しない配信が混ざることがあります。特にECでは、CVにつながらない検索語句や面に配信が広がると、CVRを押し下げやすくなります。
2.1.1 「除外キーワードリスト」による防衛線の構築
P-MAXの最大の弱点は、コンバージョンに至らない無駄な検索語句にも配信を広げてしまう点にありました。しかし、2025年のアップデートにより、アカウント単位での除外キーワード機能が強化され、キャンペーンレベルでも最大10,000個までの除外設定が可能になりました 4。
・アクションプラン
- ブランド毀損ワードの排除: 「苦情」「詐欺」「解約」「返品」などのネガティブワードを徹底的に除外します。
- 競合指名ワードの精査: 自社商品と比較検討するユーザーを狙う場合は有効ですが、単に「〇〇(競合名) ログイン」などを探している既存顧客への配信は無駄クリックになります。これらを精査し除外します。
- 意味の広いワードの制御: 例えば「ギフト」という単語一つでも、「手作り ギフト アイデア」を探している人に商品を売り込むのは困難です。「作り方」「とは」などの情報収集系クエリを除外します。
2.1.2 動画アセットの「自社制作」義務化と自動生成の罠
P-MAXは、動画アセットが入稿されていない場合、入稿された静止画とテキストを組み合わせてスライドショー形式の動画を自動生成します。しかし、この自動生成動画は品質が低く、ブランドイメージを損なうばかりか、YouTubeショートなどの没入型フィードでユーザーに「違和感」を与え、即座にスキップされる原因となります 。
- Squad beyond連携:
Squad beyondでは「High Quality Mode」を提供しており、動画広告の画質劣化を防ぎ、高品質な視聴体験を提供することでCVRを最大19%向上させた実績があります 5。
- 推奨アセット
- 縦型(9:16):YouTubeショート、Instagramリール用
- 正方形(1:1):フィード用
- 横型(16:9):YouTubeインストリーム用
これらを必ず自社(またはプロ)の手で制作し、AIによる低品質な自動生成を防ぐことがおすすめです。
2.2 Meta広告 Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)のハック
Meta(Facebook/Instagram)のASCは、ECサイト特化型の自動化メニューです。機械学習の精度は極めて高いですが、「クリエイティブの摩耗」が激しいという特徴があります。
2.2.1 クリエイティブの「多産多死」モデル
ASCは、成果の良いクリエイティブに予算を一点集中させる傾向があります。しかし、同じ画像や動画を同じユーザーに何度も見せれば、飽きられ、CTR(クリック率)が下がり、結果としてCPM(インプレッション単価)が高騰し、CVRが悪化します。
- 対策: クリエイティブの「量」で勝負します。Metaは「広告クリエイティブの推奨本数」を維持することを推奨していますが、現場レベルでは週に数本〜十数本の新規クリエイティブを投入し続ける必要があります。
- LPとの連動: クリエイティブを変えたら、LPのファーストビュー(FV)もそれに合わせて変えるのが理想です。
・広告A(悩み訴求)→ LP A(悩みに共感するFV)
・広告B(権威性訴求)→ LP B(受賞歴を強調したFV)
この「広告とLPの一貫性(Message Match)」こそが、CVRを劇的に高める要因です。Squad beyondを使えば、サーバーにファイルをアップロードする手間なく、管理画面上でLPを複製・編集し、独自のURLを発行できるため、この高速PDCAが可能になります。
2.3 検索広告における「具体的キーワード」の魔力
Googleの公式ヘルプも認める通り、具体的(Specific)なキーワードは、一般的(General)なキーワードよりもCVRが高くなります 7。
- 一般的キーワード: 「プリンター」「スニーカー」
- ・ユーザー意図: 漠然とした調査。CVRは低い。
- 具体的キーワード: 「Acme 710c プリンター」「ナイキ エアジョーダン1 LOW 黒」
- ・ユーザー意図: 特定のモデルを探している。購入直前。CVRは高い。
具体的なキーワードで流入したユーザーを、トップページや広範なカテゴリページに着地させてはいけません。「Acme 710c」と検索したユーザーは、その瞬間にその商品を見たいのです。商品詳細ページ(PDP)へ直接誘導するか、あるいはその商品の魅力を深掘りした専用のLPに着地させる必要があります。この「着地ページのマッチング精度」を極限まで高めることが、広告費の無駄をなくす最短ルートです。
2.4 アドフラウド(広告不正)という「見えない敵」
CVR改善において見落とされがちなのが、ボットや不正業者による「アドフラウド」です。Squad beyondの調査によれば、月間300万円以上の損失が発生している事例も確認されています 。
- 現象: クリック数はあるが、滞在時間が0秒、あるいはスクロール率が0%。
- 影響: 見かけ上のCVRが下がるだけでなく、広告媒体の機械学習が「不正なクリック」を「興味のあるユーザー」と誤認し、さらなる不正クリックを呼び込む悪循環に陥ります。
- 対策: Squad beyondなどのツールを用いて不正アクセスのIPや傾向を特定し、配信除外リストに追加する、あるいはプラットフォーム側の不正検知機能と連携して、きれいなトラフィックのみをLPに流し込む体制を構築します。
第3章:Squad beyondで進めるLPO:出し分けとUI改善の進め方
ここからは、Squad beyondの機能を使ったLPO(ランディングページ最適化)の進め方を具体的に整理します。一般的なLPOツールは「一部の差し替え」に強い一方で、Squad beyondは運用型広告の運用フローに合わせて、ページを複数パターンで回しやすい作りになっています。
3.1 「Branch Operation」による流入元ごとの究極の出し分け
従来のWebマーケティングでは、1つの広告キャンペーンに対して1つのLPを設定するのが一般的でした。しかし、ユーザーの属性や流入経路が多様化する中で、全ユーザーに同じページを見せるのは非効率です。
Squad beyondの「Branch(ブランチ)」機能は、この課題を解決します。1つのURLに対して、条件分岐(If-Thenルール)を設定し、表示するLPの中身(Version)を出し分けることができます 9。
実装シナリオとユースケース
| 条件(トリガー) | ターゲットユーザー | 表示コンテンツ(Version) | 期待効果 |
| UTMパラメータ (例: utm_campaign=instagram) | インスタグラム経由の視覚重視ユーザー | 「UGC特化型」 インフルエンサーの投稿画像や動画をファーストビューに配置し、SNSの延長線上で閲覧させる。 | 直帰率低下 滞在時間延長 |
| UTMパラメータ (例: utm_source=google_search) | 検索経由の論理的検討ユーザー | 「スペック・権威性特化型」 成分表、専門家の推奨、No.1受賞歴などを冒頭に配置し、信頼を勝ち取る。 | 納得感の醸成 CVR向上 |
| デバイス (Mobile / Desktop) | スマホユーザー vs PCユーザー | 「UI最適化」 スマホ: 固定フッターCTA、短文。 PC: 情報量を多くし、比較表などを充実させる。 | UX向上 誤操作防止 |
| 曜日・時間帯 (例: 平日深夜) | 深夜の衝動買い層 | 「深夜限定オファー型」 「今夜だけ」「朝まで」といった限定性を強調するウィジェットを表示。 | 緊急性喚起 即時CV |
さらに、Branch Operationには「数値条件による自動停止」機能があります。「PVが100を超えてCVが0の場合、そのVersionを停止し、予備のVersionに切り替える」といったルールを設定することで、深夜や休日など担当者が不在の間も、自動で損失を防ぎ、効果の高いページだけを残す「自動最適化」が実現します 。
3.2 ユーザーの心を動かす「Widget(ウィジェット)」の戦略的配置
静的なHTMLページは、ユーザーにとって単なる「読み物」です。しかし、インタラクティブな要素(Widget)を組み込むことで、ページは「接客ツール」へと進化します。Squad beyondに搭載されている代表的なWidgetとその心理的効果を解説します 。
① Countdown Widget(カウントダウンタイマー)
- 心理トリガー: 希少性と緊急性。行動経済学における「損失回避」のバイアスを利用します。「手に入らないかもしれない」という恐怖は、「手に入れたい」という欲求よりも強く行動を促します。
- 実装: 「キャンペーン終了まで:あと03時間21分45秒」というタイマーを、追従型フッターや申し込みボタンの直上に配置します。
- 注意: 嘘のカウントダウン(ページ更新でリセットされる)は信頼を損ないます。実在するセール期間と連動させるか、ユーザーごとに「初回アクセスから24時間限定」といったパーソナライズされた設定を行うのが効果的です。
② Review / UGC Widget(口コミカルーセル)
- 心理トリガー: 社会的証明。「バンドワゴン効果」とも呼ばれ、「他人が良いと言っているものは良いものだ」と判断する心理です。
- 実装: 星評価(★★★★★)だけでなく、実際のユーザーの顔写真、年齢、使用感のコメントをスライド形式で表示します。特に「自分と似た属性の人(例:同年代、同じ肌悩み)」のレビューは強い共感を生みます。
- データ: Future Shopの調査でも、レビューの質と量が購買決定に決定的影響を与えることが示されています 2。
③ Map Widget(店舗誘導・信頼性)
- 心理トリガー: 実在性と安心感。EC専業であっても、実店舗やオフィスの地図を表示することで、「架空の詐欺サイトではない」という安心感を醸成します。
- 実装: 会社概要セクションにGoogleマップを埋め込みます。
④ Lottie Animation Widget(マイクロインタラクション)
- 心理トリガー: 視線誘導。静止画よりも動きのある要素に人の目は引きつけられます。
- 実装: CTAボタン(購入ボタン)そのものをプルプルと動かしたり、矢印のアニメーションでボタンを指し示すことで、クリック率(CTR)を向上させます 10。
3.3 ヒートマップ分析による「熟読」と「離脱」の可視化
Squad beyondにはヒートマップ機能が標準搭載されています 。数値(CVR)だけを見ていては分からない「ユーザーの感情の動き」を可視化し、LPOの次の一手を導き出します。
アテンションヒートマップ(熟読率):
- 赤く表示されるエリア: ユーザーが興味を持って読んでいる場所。ここに重要なオファー(割引情報、キラーコピー)やCTAボタンを移動させるべきです。
- 青く表示されるエリア: 読み飛ばされている場所。不要なコンテンツである可能性が高いため、削除または短縮を検討します。
スクロールヒートマップ(到達率):
- 急激な段差(離脱): 特定のセクション(例:長すぎる開発秘話、分かりにくい図解)の直後で色が急激に変わっている場合、そこが「離脱ポイント」です。
- FVでの離脱: ページを開いた瞬間に30%以上が離脱している場合、広告クリエイティブとFVの整合性が取れていないか、ページの表示速度に問題がある可能性があります。
第4章:行動経済学をLPに落とす:迷いを減らす見せ方の工夫
ここでは、行動経済学の考え方をLPOにどう活かすかを整理します。難しい理論をそのまま使うというより、「ユーザーが迷いやすいポイントを減らす工夫」として捉えると実務に落とし込みやすいです。
4.1 デフォルト効果とカゴ落ち対策
人間は、認知的負荷を避けるために「現状維持」を選びやすい傾向があります。
- 課題: カートに商品を入れたものの、「会員登録が面倒」「後で考えよう」と離脱するカゴ落ちは約70%に達します 。
- ナッジ施策:
・カート保存: カートに入れた商品をブラウザに自動保存(デフォルト設定)し、翌日再訪した際に「カートにお忘れ物はありませんか?」とポップアップや通知を出します。
・メルマガ登録のチェック: 「お得な情報を受け取る」のチェックボックスを、あらかじめ「ON」にしておく(※GDPR/個人情報保護法に配慮しつつ、オプトアウト方式を採用する場合)ことで、登録率を高めます。
4.2 フレーミング効果
同じ事実や条件でも、その「枠組み(フレーム)」を変えることで、ユーザーの受ける印象は劇的に変化します。
- A案: 「送料 800円」
- ユーザーの印象: 「高い。損をしたくない。」(損失の痛み)
- B案: 「あと2,000円の購入で送料無料」
- ユーザーの印象: 「2,000円分買えば、800円得をする。」(利得の喜び)
- Squad beyondでの応用:
Squad beyondのポップアップ機能やHTML編集を活用し、カート画面で「あと〇〇円で送料無料!」という動的なメッセージを表示します。これはCVRを高めるだけでなく、客単価の向上にも直結します。
4.3 アンカリング効果
最初に提示された数字(アンカー)が、その後の判断の基準点となります。
- 施策: 商品価格を表示する際、単に「5,000円」と表示するのではなく、「メーカー希望小売価格 10,000円」を打ち消し線で表示し、その横に「5,000円」と置きます。ユーザーは「10,000円」を基準に価値を判断するため、「5,000円は非常に安い(50%お得だ)」と感じます。
- 応用: 「通常プラン」の横に、あえて高額な「プレミアムプラン」を配置することで、通常プランや真ん中のプラン(松竹梅の竹)を選ばせやすくする「おとり効果」も有効です。
第5章:EFO(フォーム改善):最後の離脱を減らす5つのポイント
どれだけ魅力的な広告で集客し、LPOで購買意欲を高めても、最後の「購入フォーム」が使いにくければ、すべてが水泡に帰します。EFOは、最も確実かつ即効性のあるCVR改善施策です。
5.1 2025年版 EFOの「5つの鉄則」
① 入力項目を減らす
- 原則: マーケターは「顧客データ」を欲しがりますが、ユーザーは「入力の手間」を嫌います。「必須」項目は、商品配送に必要な最低限(氏名、住所、電話、メール)に絞るべきです。
- NG例: 初回購入時に「性別」「職業」「このサイトをどこで知りましたか?(アンケート)」を必須にする行為。項目数が10個を超えると、離脱率は30〜50%増加します 15。これらの情報は、購入後のサンクスページやメルマガで任意回答として求めれば十分です。
② リアルタイムアラートと入力支援
- 旧来のフォーム: 全て入力して「送信」を押した後、ページ上部に「エラーがあります」と表示される。→ ユーザーのストレスは最大化し、離脱します。
- 最新のEFO:
- ・入力した瞬間に判定し、「全角で入力してください」などのガイドをその場に表示する。
・住所自動入力: 郵便番号を入力したら、即座に町名まで自動入力される機能は必須です。これが無いだけで、モバイルユーザーの多くは離脱します。
・ふりがな自動入力: 氏名を入力すると、フリガナ欄も自動で埋まるスクリプトを導入します。
③ スマートフォン・キーボード最適化
- 施策: スマホでの入力時、項目に応じた適切なキーボードを立ち上げます。
・電話番号・郵便番号欄: <input type="tel"> → 数字キーパッドを表示。
・メールアドレス欄: <input type="email"> → 「@」や「.com」があるキーボードを表示。 - 効果: 入力ミス(ミスタップ)を減らし、入力完了までの時間を短縮します。
④ 心理的ハードルの低減とプログレスバー
- 施策: 「あとどれくらいで終わるのか」を可視化します。フォーム上部に「Step 1: お届け先 → Step 2: 決済 → 完了」といったプログレスバーを設置します。
- マイクロコピー: 送信ボタンの文言を「送信する」から「30秒で完了!商品を申し込む」や「無料で資料を受け取る」といった、ベネフィットと手軽さを強調するものに変更します。
⑤ セキュリティ表示による信頼性向上
- 背景: フィッシング詐欺への警戒心から、個人情報の入力に躊躇するユーザーが増えています。
- 施策: フォーム周辺、特にクレジットカード情報入力欄の近くに、SSL(鍵マーク)バッジ、プライバシーマーク、あるいは「お客様の情報は暗号化して送信されます」という一文を明記します 15。
第6章:実務の回し方:A/Bテストの手順と改善の進め方
ここまでの理論を、実際の運用業務にどう落とし込むか。Squad beyondを中心とした具体的なワークフローを提示します。
6.1 高速PDCAサイクル:テスト設計から実装まで
1. 仮説立案:
- ヒートマップを見て、「FVでの離脱が多い」ことを発見。
- 仮説: 「広告で訴求した『時短メリット』が、LPのFVでは『成分の良さ』になっており、整合性が取れていないのではないか?」
2. A/Bテストの準備(Squad beyond):
- 現状のLP(Version A)を複製し、FVの画像とコピーのみを「時短メリット」に変更したVersion Bを作成。
- 編集は管理画面上の「直接編集モード」で行い、エンジニアへの依頼時間をゼロにする。
3. 配信設定:
- 配信比率を50:50に設定。
- Google/Meta/SmartNewsなどの媒体に入稿。
4. モニタリングと判定:
- レポート画面でリアルタイムに数値を追う。
- CVRに有意差(例:A=1.2%, B=1.8%)が出たら、Version Aを停止し、Bに100%寄せる。
5. ネクストアクション:
- 勝ったVersion Bを元に、さらに「オファー(価格)」を変えたVersion Cを作成し、テストを継続する。
6.2 ケーススタディ:Squad beyond導入による成功事例
事例A:美容系ECにおける動画広告×LP改善
- 課題: CPAが高騰し、静止画バナーの反応が鈍化していた。
- 施策:
・High Quality Modeを活用した高画質縦型動画を制作し、P-MAXとMetaリールで配信 。
・LP側では、動画の内容(使用感)を詳細に解説するセクションを追加。
・Branch機能で、Instagram経由ユーザーには「インフルエンサーの使用動画」をFVに、検索経由には「成分解説」をFVに出し分け。 - 結果: CVRが導入前の1.2倍に向上、CPAは20%改善。
事例B:健康食品ECにおけるカゴ落ち対策
- 課題: カート投入率は高いが、購入完了に至らない。
- 施策:
・Countdown Widgetを導入し、「初回限定価格はあと15分で終了」と表示。
・EFO: フォームの必須項目を8個から4個に削減し、住所自動入力を導入。
・ポップアップ: 離脱しようとした瞬間に「クーポンコード」を表示。 - 結果: カゴ落ち率が70%から55%に改善、月間売上が数百万円規模でアップ。
第7章:結論: 広告とLPをつなげて改善を積み上げる
ECのCVR改善は、単発の施策で一気に変えるというより、広告とLPをつなげて改善を積み上げるイメージに近いです。トラフィックの質を整え、LPやフォームの不安や手間を減らし、数字を見ながら更新していく。地味ですが、これが一番再現性があります。
2026年は、自動化配信が当たり前になり、広告側のコントロールが難しい場面も増えます。その分、LP側を含めて「改善を回せる状態」を作っておくことが重要になります。
- 広告側で無駄な流入を減らす
- 流入元に合わせてLPを出し分ける
- 迷いを減らす要素(レビュー、期限、表示)を入れる
- フォームの手間を減らす
この一連をセットで回すと、CVRは安定しやすくなります。まずは一つ、仮説を作ってテストするところから始めるのが良いと思います。



